忙しく過ぎていく毎日の中で、「今日は何をしたのか思い出せない」──
そんな日が続くと、時間に追われているような気持ちになることがあります。
仕事、家事、育児、予定の調整。
誰かのために何かをし続けながら、気づけば自分の時間だけが置いていかれる。
だからこそ、日常の中にある“ほんの少しの余白”は、思っている以上に大切です。
余白とは、必ずしも長い休暇や特別なイベントのことではありません。
朝起きて窓を開けたときに感じる気持ちの良い空気、
お気に入りのマグで飲むコーヒー、
通勤中にふと目に入る季節の色。
そんな小さな瞬間が積み重なることで、
「今日も一日やってみようかな」という前向きな気持ちが生まれます。
逆に、忙しさの波に飲まれてしまうと、
その“わずかな時間”すら見えなくなることがあります。
脳と気持ちのキャパシティがぎゅっと硬くなってしまうのです。
だからこそ、意識して余白をつくることは、
自分の機嫌を自分で整えるという意味でも、とても大切だと思います。
たとえば、手帳の片隅に「10分だけ何もしない時間」を書く。
好きな音楽をひとつだけ流してみる。
部屋の中の一箇所だけ、そっと片づけてみる。
大きな行動ではなくていい。
たったひとつの“小さな余白”が、気持ちをやさしく整えてくれます。
そして、その余白から生まれる時間には、
思いがけない発見があることも。
忘れていた趣味を思い出したり、
興味のあることがふと頭に浮かんだり、
新しいことに挑戦したいという気持ちが芽生えたり。
忙しい毎日を生きていると、
「余裕なんてない」「時間なんて作れない」と感じがちですが、
実はほんの数分でさえ、心には十分な栄養になります。
完璧を求める必要はありません。
休もうと決めた10分を誰かに伝える必要もありません。
ただ、自分のペースで、少しだけ肩の力を抜けばいい。
気持ちに余白ができると、
人にも優しくなれたり、日々の選択がやわらかくなったり。
生活のリズムが、少しだけ軽やかに動き始めます。
忙しい日々の中にある“ちいさな余白”。
それは贅沢ではなく、必要な時間。
今日のどこかで、あなたの心がふっと休める瞬間がありますように。
